海外紙が報じた「反日デモ」

18日、中国では尖閣諸島の国有化に反対する反日デモが100都市以上で行われた。この日は、満州事変の発端となった柳条湖事件から81年にあたる日でもあった。

<各紙の報道>

FTは、一連の事態が日中間の経済・ビジネスに与える悪影響について焦点を当てた。反日デモの拡大を受け、一部企業・工場では営業・操業を停止していると報じた。旅行のキャンセルが相次ぐなど、短期的な影響は多方面にわたると指摘した。長期的には、今回のような「カントリーリスク」(編注:その国固有の政治・社会・経済的リスク)により、日本企業の海外移転が進む可能性に言及した。「釣魚島への有効な対応策は必要だが、対立が続くことは中国の利益にならない」という中国人専門家のコメントも紹介している。またデモの様子については、中国の反日スローガンはいつもと変わらないもので、背景には共産党の数十年に渡る反日プロパガンダ教育があると指摘した。

IHTはまず、デモの様子について報じた。18日のデモは、前週末に行われたものよりコントロールされたものだったと指摘した。実際、日本大使館前で行われたデモは、警察が一定人数ごとに分けるなどの管理を行なっていたと報じている。このように、今回の大規模デモは政府のサポートによることが明らかだと指摘したが、参加者は日本に対しての怒りを思い思いに表す場面もあったとしている。また、パネッタ米国防長官と梁光烈中国国防相との会談結果を報じた。アメリカは領土問題に関して中立の姿勢をとるというパネッタ長官のコメントにふれている。対して梁国防相は、「追加的な措置」を取る権利を依然として留保している、と言及したことを報じた。

WSJは、この問題に関して3記事を掲載した。1つは在中日本人の抱く不安に焦点を当てている。仕事や買い物、子育てなど生活全般が制限される事態を憂慮する現地の声を取り上げた。もう2つはデモの様子や日本企業の対応、米中会談の内容、そして日本国内の対応、と多岐にわたる情報をまとめて報じた。
まずデモについては、全体的には平和的に行われていたとし、特に日本大使館前では警察が厳重な警戒に当たっていたことを報じた。また18日のデモでは毛沢東の肖像画を掲げる参加者が増えており、これは現在の指導部への抗議の意図が含まれると分析した。
日本企業は一部工場や店舗の操業・営業を停止したが、中には放火・破壊が行われた工場もあったと指摘した。一連の事態に対し、日本政府は領事館を通じ在外日本人・企業に注意を喚起するなどの対応を行なった。また政治団体による50人規模の抗議集会などの動きを紹介した。

<参考リンク>

以下、BLOGOS掲載ブログより
中国に対して理性的な態度を取るといっても、どう取ったらいいのか分からない人のために
(やまもといちろう)
「尖閣では日米安保条約は発動せず」との前提で日本政府は冷静に対処していくことが必要
(木走正水(きばしりまさみず))
中国の反日暴動は、中国国家によるものだと報じる米国の公共放送
(小笠原誠治)
今回の反日デモの黒幕についての考察まとめ
(安田峰俊(迷路人))
正しい反日デモとは?
(凜)
※中国メディアの報道を解説

Text by NewSphere 編集部